ストーリー(21) 東京ベイ先端医療・幕張クリニック
インテリアデザイナーとの空間創り
ストーリー第21弾
千葉にある東京ベイ先端医療・幕張クリニック。
癌の放射線医療施設におけるインテリアデザインのご紹介。
そこにいるだけで病気になりそう、精神的にも病んでしまいそうな医療施設はまだまだ多いですよね。
この、東京ベイ先端医療・幕張クリニック様は、リゾートホテルのような太陽が燦々と降りそそぎ、楽園で自然と共生しながら『診断』や『治療』が受けられる空間を創造しました。
さらに
◆不安感や弱った体や生産を優しく包み込むような包容力を感じる色やフォルム
・ホルマンバランスを整える色
・癒しの効果やストレス解消する効果のある色
・陽気な気分で、開放感を与える色
◆診断、診察、治療へのアプローチの緊張をやわらげる変化やリズム
・色、照明、壁や床のデザインに変化やリズム
などを取り入れています。
アースカラーとピンク(子宮(胎盤)の色)で包容力、トロピカルカラーでリゾートを演出し、カラフルでありながら大人が寛げるリゾート空間に仕上げました。
診察のエントランス、待合室。
エレベーター前のニッチコーナーのペンダント照明。この鳥籠の中には鳥は居ません。
鳥達はこの楽園に開放され自由に飛び交っているのです。
このクリニックは自然や動物との共生を表現しています。
日常生活を忘れ、開放された気持ちで寛いで癒されて頂きたいというホスピタリティを表現しています。
ちなみに、最初のマテリアルイメージはこんな感じ。
その後、ブラッシュアップして、マテリアルボード作成。
このインテリアボードと同時に
この3Dパースをでプレゼンしました。
このプレゼンで、目標というかミッションである、オーナーである理事長の一発OK!を達成したわけです。
ここまで、約1ヶ月。
そしてプレゼン時間30分。最初は待ち時間15分でしたが、15分延長してくださいました。
最初の難関を突破した後は、残りのお部屋とゼネコンとの定例会議と、クリニックの各担当者との詳細打ち合わせで完成まで、千葉と愛知の往復を繰り返しながら進めていきました。
外観はタチアオイのお花をモチーフにしたデザインになっています。(jujuは内装インテリアデザインを担当しており、外装は中日設計様デザインです)
女性待合室
トロピカルな印象を感じられる様に、アクセント壁に大柄の印象的な壁紙を貼っています。
オリジナルの亀井がデザインさせて頂いたガラステーブル、家具は張り地をこのお部屋に合わせてオリジナルで選ばせて頂いています。
ラウンジチェアの後ろ姿、ストライプが目を惹きます。引きで撮影しているとわかりにくいですね。
女性更衣室
内装材は勿論、家具やパーティションにもこだわった更衣室。写真ではわかりにくいですね。
男性更衣室。
この更衣室は廊下のカラーの補色を使ってコーディネートしています。
マテリアルボード。
担当者との打ち合わせで使用したボード。
放射線治療の待合室。
測定コーナー
イエローグリーンの測定コーナー。
写真では蛍光色?ってくらいに写ってますが、実際は、もっと柔らかい色目で、幾つかの測定するために、春の新芽をイメージするこの色を選んでいます。希望を感じ前向きな気持ちになれる色、また心を軽くしてリラックスできるので、少しでも気持ちよく測定をして頂けたらとコーディネートしています。
測定コーナーのイエローグリーンの色を横の待合室チェアの張り地にも選びました。
トロピカルな柄のピンククッションとのコーディネートは、私自身お気に入り。
待機室
プロブァンスのリゾートイメージしています。
放射線治療待つ間の待機室。
メンテナンスもしやすい素材でコーディネートしています。
リクライニングチェアーは機能的に優れていますが、やはり内装に合わせてメンテナンスしやすい生地でオリジナル製作した事で、クリニックの暗くなりがちなイメージを払拭しています。
回復室
コートダジュールのリゾートをイメージしている回復室。
放射線治療後に、静かに、お水を飲みながら回復を待つお部屋。
リクライニングチェアーは、待機室と同じチェアーですが、張り地や張り方でかなりイメージが変わりますよね。
選定や指示やコーディネートが、結構大変でしたが、とても喜んで頂けました。
リクライニングチェアーのメーカーさんもショールームの展示室の写真に採用くださってました。
2階エレベーターボール
1階のエレベーターホールの鳥籠にいた鳥が飛び交っています。
2階ラウンジ
ガラスのパーティションは、エッヂング加工で鳥の柄が描かれています。
不思議の国のアリスの様な世界観を表現している共有部分。こちらにはウサギも居ます。
ガラスの向こう側には、休憩コーナーが有りますので、リフレッシュ頂くアプローチとして動物との共生が少しでも癒しになればと、こんなフォーカルなコーナーつくりました。
当初のマテリアル。
クリニックのオーナーや医院長、コンシェルジュ、スタッフの皆様にコンセプトやデザインの意図を詳細までご理解頂きたいため、こんな資料を作成しました。一部をご紹介。
というか、ブログで全てを書き尽くせない💦
資料を引っ張り出して写真を利用。
詳細に興味がある方は、ご覧くださいませ。
国内、海外から視察に来られる医療関係者も多いそうで、この資料が役に立っているそうです。
千葉市都市文化賞を頂いた、東京ベイ先端医療・幕張クリニック様。(2014年)
授賞式は、中日設計様と共に参加させて頂きました。
審査員の方々は、応募作品を全てバスツアーで見て廻られ審査されたそうです。
このクリニックは、写真だけでは色がきつく感じられ、受賞には至らなかっただろう!
けれど、空間の中に入った瞬間包容力のある優しい空気感に圧倒され即受賞作品として選ばれたそうです。
インテリアデザインを担当した私にとっては、とても感動的なコメントでした。
病気で不安な思いをしている方、生きる気力を失いかけている方、診察で緊張されている方、寄り添っているご家族の方、クリニックに訪れるすべての方々が、この空間に癒されて安心感に満たされて欲しいと思います。
次回は治療の空間と、拘り部分をピックアップしてご紹介したいと思います。