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ストーリー(8) H residence

インテリアデザイナーとの住まい創り

ストーリー第8弾

 

H residenceは、お子様2人が独立してお部屋が2部屋使用しなくなっていました。

その2部屋を、来客用のお部屋に改装したいとのことでした。

住宅のリノベーションの1例のご紹介です。

 

このゲストルームは、2つの重要な点があります。

お客様が海外で購入されたARTを飾りたいということ。

 

もう一つの重要な点、それは海外旅行を趣味にされていることもあり、様々な国のインテリアを見てこられ、自分たちのアイデンティティを大切にしたいこと、DNAに刻まれている日本人として、落ち着く空間を作りたいと言うご要望でした。

 

ARTから始める住い創り

『Guest Room』

ARTのイメージとお客様のご要望から、私がセレクトしたインテリアマテリアル。

これが空間のキーになっています。

 

日本の和室の白木をイメージした内装材と造作。

日本の伝統色のワビサビを感じる壁クロス。

日本にインスパイアされてデザインされているアルマーニのスタンド照明。

日本の絣柄を大胆にイメージしたカーテン。

日本の組子細工をイメージしたファブリックのパーティション。

日本の南部鉄器で作られたドア取手。

こんなアイテムで構成されています。

ゲストルーム

 

Guest Rome

本題に入る前に、チョット余談ですが、上2枚の写真を撮る際、どうしてもこのアングルで撮りたくて、写真家さんにお願いしたこの写真。

葛飾北斎の富嶽三十六景の構図でアートの存在感を強調しています。

富嶽三十六景

19世紀に世界の美術やファッションに影響を与えたJaponism、シンメトリーとは違う遠近法とフレームを利用した大胆で奇抜な構図は、“日本らしさ”になっていると思うのです。

アルマーニのスタンド照明を採用された時に、この構図が頭に浮かんでまして、希望通り上手く撮ってくださいました。

 

この物件は、中部デザイン協議会、第7回CCDOデザインアワード2013で入選しました。また『大人の名古屋』という雑誌にも掲載されました。

それだけインパクトがあり、私自身も大変気に入っています。

 

 

さて本題に入ります。

2部屋の間仕切りを取っ払い、リビングと寝室にゾーニングしています。

来客者の方々にホテルで寛ぐような雰囲気、そして障子のような間仕切りで圧迫感の無い間仕切りが欲しい。

でも和室にしたくないというご要望でした。

ゲストルーム2

TVの存在感を感じたくないがTVも見る、ファミリーで宿泊の際に各々で好きな過ごし方が出来るようにしたい。

ということで、TVは隠せるように扉を付けています。写真の左側にある扉を右に引くと飾り棚が現れます。

TVの右側には、ドレッサー件デスクになっています。

 

ゲストルーム3

照明計画もゾーンで分けています。手元の照明と全体照明も分けていますので、それぞれのゾーンで双方が寛げるようになっています。

そして組子のようなファブリックで空間をやさしく間仕切っています。組子のファブリックは離れてみると意外と反対側が見えません。

窓装飾として、絣柄の大胆な柄は昼と夜とで違う雰囲気を醸し出します。

リビングテーブルは、お子さんの来客も考慮して、木の丸テーブルにしています。

色々な使い方が出来るので、喜んで頂いております。

ゲストルーム4

 

ゲストルーム6

 

ゲストルーム5

 

アワードにエントリーした時のデザインコンセプトが残っていましたので、ご紹介

 

H 邸『懐かしさを感じ、寛(くつろ)ぎの時間を過ごせるゲストルーム』

 

忙しい時間の流れや都会の喧騒を忘れさせてくれる癒しの空間、それは色々なスタイル空間を超越し、 現代の日本人に合った懐かしくもあり、機能的で多目的な空間ではないだろうか?

 

  • 「和」の伝統手法の『間仕切り』

・伝統的な和室空間を間仕切り、繋(つな)げる建具の役割は、隣り合う部屋へ移るときの心構えを引き出すサインにもなっていた。

 

・ たとえば廊下と部屋の間に障子、部屋どうしの境には源氏襖(ふすま)、板と畳間の仕切りに筬(おさ)障子、土間との間仕切りに格子戸を使う。そして、庭先から縁側そして室内へ、土間から板間そして畳間などに、灯りのグラデーションでそれぞれの部屋を予感させていく、高度に洗練された和の技法がここにある。

 

  • 『間仕切り』の現代的アレンジと演出の追求

・和室を間仕切り、次の部屋の空気を感じさせる建具を現代風にファブリックで表現し、限られたスペースで日本人が懐かしく感じ、現代のライフスタイルにマッチしたゲストルー ムを創造した。

 

・「バルコニーと室内」の絣柄のレースは現代風障子、プレーンシェードは雪見障子のイメージ、 「廊下と室内」は、ファブリックガラスの現代風障子戸、「ベッドゾーンとリビングゾーン」は源氏襖(ふすま)をファブリックで現代風にそれぞれ表現した。また、「TV、本棚壁と室内」押入れの引ちがい襖はファブリック緞子(どんす)貼りで重厚感を表現してある。

 

・リビングテーブルは、高さ大きさ違いで多目的に使え、多人数にもパーソナルにも使いやすいように配慮。 フロアスタンドは、日本の行燈を思わせるアルマーニを採用。アールのアームが空間に奥行を与えアーム越しに見えるそれぞれの景色が美しく変化を感じさせてくれる。

 

・シンプルなフォルム、木の温もり、襖(ふすま)や障子などの伝統的なしつらえを思わせるインテリア、全体的に色のトーンを統一し飽きの来ない落ち着きのあるインテリアを完成した。

 

というコンセプトシートと共に、写真のボードを提出し、入選しました(^-^)。

 

下の写真は、ファブリックガラスの扉に南部鉄の取手

この扉は、ハナムラトレーディングさんの事例紹介にも使用していただきました。

南部鉄の建具取手 ファブリック

 

絣柄をイメージしたファブリック、UPで見ると絣っぽさがつたわりますでしょうか。

ファブリック2

そして、こちらはTVを隠すための扉。

緞子張りしている扉は、限られたスペースでも人にやさしい扉になっています。

 

お客様のご要望から、コンセプト、そしてどう具現化していったか、などインテリアデザイナーとの住まい創りをご紹介しました。

今回は、少し深いところまでご紹介しました。単純に表装だけ感覚でチョイスしているのではないところをご覧いただけたら幸いです(^-^)